Twitter企画「騎士と姫の物語」のうちの子。ユスティーナとその騎士ヴァリオン氏(@piyopis)のお話。能力を失っても共に居られるのか不安に思うユスティーナのお話です。
※性的表現がありますので鍵付【R20指定】とさせて頂きます。
深夜。空に星が散りばめられ、生き物が静かに寝入る音だけが響くようなそんな夜。
ユスティーナは自室からコッソリ抜け出し、自らの騎士の元へと赴いていた。
騎士の部屋の戸を小さく叩く。
「ヴァリオン…。起きてる…?」
と少しの間をおいて、中から当人が出てきた。
「どうした…?何かあったか?」
と姫たる立場の自分に危機がないかの確認を取る彼に、
フルフルと首を振り、
「何も…。」
と小さく呟くと。俯いてしまう。
その様子を見て、戸を大きく開け自らのガウンをユスティーナに掛けると、
「外は冷える。…中へ。」と招き入れてくれた。
暖炉でもう小さくなった種火に当たらな薪をくべ、暖を取る様にその近くへとユスティーナを招くと、自らもその隣へと腰かける。
「どうした…。眠れないのか?」
彼の言う言葉は常に短く、それでいて温かい。
「夢を…見たの。」というと、その広い胸へと体を寄りかける。
「…知ってる?私達姫の力は、父である現王が退位した時、消滅するの。」
「そうか…。その話は、噂でだが聞いた事がある。…本当だったんだな。」
「そう…。そんな事をね、考えて眠ったら…。父王が退位した後の夢を見たの。」
「そうか。」
「女神の祝福を受けた姫ではなくなった、私の元から、ヴァリオンが去って行く夢…。」
「…。」
「ね…。ヴァリオンは、ワタクシが『姫』だから、仕えていてくれる。けど、何の価値もないただの人になってしまったら…。それでも、ワタクシと…共に居てくれる…?」
と縋る様にその胸から顔を見上げる。
てらてらと暖炉の灯りに照らされて、ヴァリオンの燃えるオレンジの瞳が揺れる。
「そうだな…。分らない。」そう短く答えると、肩をすくめて小さく笑う。
「分からない…。そう…。」
何を期待したのか、彼の口から”それでも共にある。”と、その答えを期待した心は、小さくしぼんでいく。
夢の中で見た、彼の背が遠くなって行く光景が脳裏に広がり、途端に不安が押し寄せてくる。
自分が姫だから、大した価値ではなくても、それでもこの国の姫に列を並べているから。
だから彼は共に居るだけ何だと、分かりえた事実が悲しかった。
「そう、ね…。ごめんなさい。夜更けに…。帰ります。」
そう言って立ち上ろうとした瞬間、腕を強く引かれ崩れる様に彼の胡坐をかいて座っている膝の中へと納まってしまう。
「ちゃんと話…最後まで聞いてくれ。」
モダモダともがく私を、その太い腕で逃げられない様ホールドすると、続けてこういった。
「俺にとって『姫』だとか『能力』だとか、正直どうでもいい。良く分からないしな。
だが、俺は『騎士』だから、護るのが仕事だ。そして俺が護るただ一つのものはティナ、アンタだけだろ?」
「そう…ですわね。義務…ですもの。」
と、ふてくされるような態度で我ながら子供の様だと思いつつも、顔を逸らすと、
「そうじゃない。俺が…何だその…護りたいのはティナだから。騎士にだって意志はある。」
と言い、サラリと私の髪を撫でた。
その手の温かさが心地良く、目を細め彼を見る。
「ティナこそ、姫じゃなくなって自由になったら…どうするんだ?俺何か…必要無くなるだろう。それでも、共に居たいと思うか?」と聞く。
ズルい聞き方…。そんな風に訊かれたら…。
「ヴァリオン、ズルいですわ…。ワタクシは…ワタクシも『分りません』わ。」
といい彼の首へと腕を伸ばし抱きしめると、その耳元で
「でも…。共に…居たい…。」
と小さく呟いた。
そして、両手で彼の頬をゆっくり挟むとその唇へ小さく口づけた。
と、彼は私の腰を強く引き寄せ抱きしめると、
「俺も、同じだ。」
と囁やき、強く深く口づけられた。
息も止まるようなそれに体から力が抜けていく。
肩に掛けられたガウンが反動でスルリと落ちる。
と、離された唇が首筋へと降り首回りの緩く空いた薄手の夜着を滑らせるように出て肩口から落とすと、
その露わになった肌の隅々へと舌を這わせて行った。
「ティナ…。抱きたい…。」
大きな体で縋るような眼で渡しを見る。
あぁ…想えばこの瞳に、ワタクシは最初から射抜かれていたのだと思いながら、
「ヴァリオンの…好きに…。」
と小さく呟き恥ずかしさで顔が熱を持つのを感じながら、またその瞳の力強さから逃げる様に、俯く。
彼は私を手慣れたように抱きかかえると、寝室の彼の大きいベッドへと連れて行った。
自らも着衣を脱ぐと、その逞しい身体が顕わになる。
そこには大きな傷はない物の、騎士として訓練や実戦で受けた、目立たなくはあるが無数の小さな傷痕が残っていた。
ツゥ…とそれに指を滑らせるとヴァリオンから小さな吐息が漏れた。
「っ…ふ…。ティナ…。」
と言うと私に覆いかぶさるようになると、求める様にキスをし手を肌に滑らせ愛撫する。
一撫でされる度に気持ちが高まり息遣いが浅く荒くなっていく。
「っぁ…ハぁ…。はクっふ…。ヴァリおん…。独り…に、しな、い…で…。」
撫でられながら、舌で肌を転がされながらその熱を感じ、自分の中にある不安を消し去る様にそう言うと、彼の肩へと爪が食い込む程強くしがみついた。
胸の頂きはすっかり堅くなり、意地わるげにそれを執拗に責められると、体が意志に反して反応し震える。
「はぁ…ァ…ふッ…あ…や…ぁ…。」
与えられる刺激に踏ん張る事も出来ず、抵抗する事も出来ず、求めながらも逃れようと声が漏れる。
それと共に下肢は緩くなり、愛液が沁み出ている事に気づくと、更に羞恥に堪らなくなる。
そんな様子を見てか、その場所へと彼は指を這わせて行く。
「っふぁっあ…っ!あ…ぁ…や、やぁ…!」
ビクビクと震える体は体格の大きいヴァリオンから逃れられるはずもなく、胸とその下肢で固くなる花芽を弄り、更に私の体を溶かしていった。
そしてその指を蜜の溢れるその場所へと差し入れると、ゆっくりと解していく。
「ぁア!っ…はっっ…ハッ…く…ふ、っ…ぅ…。」
どうしても漏れてしまう声を抑える様に両手で口もをと押える。
けれどそれさえも、ヴァリオンは容赦なく求め。
「もっと…啼いていい。ティナが、俺を求めてる声が、聴きたい。」
と手を外す事を促されてしまう。
「ぅっぅふ…は、ずか…し…ぃから…っ…ぁ…っあ…ぅ…ンンっ!」
指の動きに合わせて押し寄せる抗えぬ並みに、体が震え大きく跳ねると達してしまった。
それでもそこで終わりではなく、ヴァリオンは体を私に重ねると、
「して…いいか?」と切なげな瞳でポツリと聞いた。
コクリ…と頷くと、彼はゆっくりとその蜜で満たされたそこへ自らをゆっくり沈めていく。
「っっ…っあ…は…ん…」
「っく…せま…っ…。」
濡れたそれはゆっくりと、彼を迎え入れるが間口が狭い為に時間がかかる。
その侵入に内壁が擦られるたびに声が上がる。
「…っ…はぁあ!!」
そのまま押し進められ最奥まで到達するとヴァリオンは私の顔を上から覗き込むと
「ダイジョウ…ぶか…?」
と問う。その片方だけ隠れた瞳は獲物を狙う様な鋭く妖しい光を宿している様にみえる。
「大丈夫…。ヴァリオン…髪、どけて…?顔が…みたい…。」
浅く息を吐きながら、自分の中にある彼を感じながら、そうねだる。
彼はティナの願いを聞き入れ、普段は垂らしている髪を後ろに束ねると
「これで…いいか…?」と聞く。
コクコクと小さく頷くと、
「ヴァリオン…好きよ…。」
と囁きその頬に手を伸ばし撫でた。
「ティナ…。俺もだ…。」
と言うと、その腰をゆっくりと動かし始めた。
「ゥっ…ぅふ…ンァ…あ!!」
そして互いの吐息と喘ぐ声。そして寝具の軋む音だけがその場を包み、彼をその身一杯に感じながら、共に果てた。
ーーーー
朝、目を覚ますと。そこは自分の寝具の中で、隣には昨夜求めた彼の姿はなかった。
”夢を…見ていたのかしら…?”と思いながらも、自分の体に残る鈍い鈍痛と重みが夢ではないと主張する。
それでも…という不安が頭をもたげていると、
「ティナ。目…覚めたか?」
と、ヴァリオンが戸口から声をかけると私に近づき小さな声で囁いた。
「その…ダイジョウブか?」と。
彼と深い関係を結ぶようになってから、いつも申し訳なさそうにそう訊ねてくる。
それがまた愛しくて、幸せだった。
体を曲げ他の誰にも聞かれないように(もっとも聞く者などここには誰も居ないのだが)、私の近くに顔を寄せそういう彼の唇に小さくキスをする。
「大丈夫。…ヴァリオン。先の事は分らない。でも…今日なら分る。ワタクシは貴方と共に居たい。だから、今日も共に居て下さる?」
と言った。
ヴァリオンは一瞬きょとんとした顔をして直ぐに、
「あぁ。もちろんだ。」と答えた。
窓から差し込む朝の光に照らされ微笑む彼の瞳は、優しく暖かなお日様の色をしていた。
fin...
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