目が覚めると、そこはあてがわれた自室だった。
いつの間にかすっかりと綺麗にされ、清潔に整えられた寝間を着せられている。
起き上がろうと体を起こすと全身に激痛が走った。
特に下腹部の痛みが酷い事に、王にされた行為が現実である事を思い知らされる。
そこへ平然とした顔で侍従がお盆に食事を持って入ってきた。
「お目覚めですか…?今日はお天気も良いようですね…。」
「…。」
何事もなかったかの様なその顔に腹がたった。
「僕を騙して…薬飲ませて…あんなこと……。貴方は、平気なの?」
そう問う俺に侍従はフッと笑っていった。
「私は王の侍従ですから。王がお喜びになられる事でしたら、何でも致しますよ?それに…。」
テーブルへ持ってきた食事を置くと、ゆっくりと近づき指で顎をあげる。
「貴方だって…あんないい声だして、啼いていたくせに…。気持ち、良かったでしょう…?ふふっ…。」
「っな…!」
「善がって物欲しそうな声、沢山あげてたじゃぁないかぁ…。」
それまでと違いグニャリと嫌な笑い方をする。
パッと手を離し、食事のセッティングを済ませると、
「私もね…以前は王の…一番の男妾だったんですよ。でもね、王は…少年にしか興味があられない…。」
グッっとナフキンを握り締め、俺を鋭くにらむ。
「愛しても、愛しても…もう私には目も向けては下さらないのだ…。君が…羨ましいよぉ?こんな艶々した肌をして、王が気に入らない訳がない。」
そういうとガっっと片手で顔を掴むと首をねじ上げる。
「ガっっ…!!」
ギリギリと締められ息が出来ない。
「ふふふ…苦しいだろ?だが私の苦しみはこんなものではないのだよ…。」
そのまま引き寄せ侍従は俺の匂いを嗅ぐ。
「あぁ…あの方の匂いがする…。」
”あぁ…もうこのまま消えてもいい。そうすればここから逃げられる…。”
呼吸が出来ず意識が遠のいていく中でそんな事を思った瞬間手を離された。
「ゲホッ…ゲホッッッ!!」
「クククっ…今、死んでもいいって思ったでしょう?ふふ…そんな簡単に楽になんて…させてあげないよ。」
そういうと首根っこを掴み激痛が走る体を無理やり起こすと、テーブルへ着座させ有無を言わさず
「さぁ…お食べなさい。でないと…今晩も王はお楽しみになれない…フッ…ハハっ…ハハハっ!!」
侍従は高らかに笑い声をあげた。
”狂ってる…。”
王の愛妾だったこの男の狂った姿に、自分の行く末を重ね合わせ、心の中で何かが死んだ。
”僕に…もう生きる意味はない…。”
王は毎日の様に俺を抱きに来た。上手く啼かない日はムチで背中の肉がそがれるほど打たれた。
俺の窄みも日に日に懐柔されるように、抵抗をなくし”感じる”様になっていった。
もう逃げる事もないというのに、繋がれる手かせに、手首の傷は深さを増し消えない傷となっていった。
ある時には、「我の物である証を授けてはいなかったな。」と暖炉にくべられた炭掻きで背中へ焼印を捺された事もあった。
けど、体的苦痛も心の痛みもその頃にはもう何も感じなくなっていた。
ただ1つの願いだけを残して…。
”僕を…殺して…。”
To be continued...
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