『一緒に暮らさないか?』
エディソンから提案され、俺は引っ越す事を決めた。
結婚出来る訳じゃないから、住居を1つにするという事は厳密的には無理だ。
だが、一方の家に一緒に暮らす事は出来る。
人と一緒にいる温もりを、エディソンからもらい、俺も一人であの家にいるのがこの所辛くなっていた。
「じいさん…。俺、この家出るよ。俺にとってここはとても思い入れがあるけど…。見つけたんだ…。ずっと一緒にいたいヤツを。」
そう言って、もう何度見たか分からない少しボロボロになってきた手紙をを開ける。
”自分の身の内を見せられる誰かを見つけなさい…。”
最後の一文にあるそれを眺める。
爺さんは俺が見つけられるって分かってたんだろうか…?
答えを知りたくても、もう答えてくれる人はいない。
「何かホント…ずっとじいさんの手の平で転がされてるよな…。」
そう憎まれ口を叩いてみるが、顔には笑みが零れていた。
常日頃使う物を纏めると、結構な量になる。
「置ける場所あんのかよ…?」
そう思いながら数箱になる荷物を眺めるが、そうしていても仕方がないのでその内の1つをもって家を出た。
エディソンの家までは少し距離がある。
「前もって転石置いておけば良かったな…。」
そう言いながら歩いていると向こうからエディソンが歩いて来た。
「荷物、運ぶの?」
「そうだよ。何だ…一緒に暮らすんじゃなかったのか?」
そう言うとニッと笑いひょいと俺の手から荷物を持ち上げる。
「これだけ?」
「んな訳ねぇだろ。」
「じゃ、エドガーの家、行こう。1回で運んだ方が楽。」
「は??そんな運べる量じゃねぇぞ。」
「大丈夫だから。行こう。」
そういって先に立って行ってしまう。
「おい…!」
フゥとため息をついて来た道を引き返した。
「これだけ?」
俺が家の戸をくぐった時には既に箱を縦に積んで抱えていた。
「おい…それ安定悪いぞ…。落としたらまずいもんも入ってんだからさ。」
と心配になり言うと、
「大丈夫。あ、悪いけどエドガーは歩いて家まで来て。」
とシュッとその場から消えて居なくなった。
「転石か…。」
荷物が消え何となくガランとした印象の家を見渡すと戸口へ向かう。
戸を閉める時ふと振り返り呟いた。
「行くよ…爺さん。…有難う。」
そう言って扉を閉めた。
エディソンの家へ着くと箱は綺麗に並べられていた。
「早かったね。荷物一応並べて置いたけど。適当に開いてるとこ使って。」
「あぁ。有難う。」
そう思って部屋を見渡すと、本がぎっしり並んでいる。
タイトルは相変わらず「ヤカトロ」のつくものばかり。
「相変わらずだなぁ~…。ま、串咥えながら歩かなくなっただけいいか。」
そう言ってニッって笑うと
「いつの話してんの!?」と少し恥ずかしそうにする。
「そう、考えると…ずっと見てんだな…お前の事…。」
そう言って近づき口づける。
「まさか、こんな風になるとは、思ってなかったが。」
そう言って腰へと腕を回す。
「僕は…ずっと見てたよ。」
そう言うと深く口づけられた。
―――。
「あっ…は、っ……はぁ…っっ…」
唇を重ね首筋へ胸へと舌を這わされる。
指はクリクリと蜜が零れる先を愛撫し刺激される。
「エディ…ソン……も、…入れ…て……ぁっ…!」
ねだる様に言うが
「まだ…。解してない…。」
そう言うと俺の腰を持ち上げ窄まりに舌を這わせ俺の反り立つモノを扱き始める。
「あぁっ…!んふっ…うっ…んん…。」
(ちゅ…ちゅく…ピチャ…ちゅぅ…)
淫辣な音が部屋へと響く。
声が出ない様必死で堪えていると、
「声…聞かせてよ。」と下から俺の顔を見上げて刺激を更に強めてくる。
「んあぁっ…!はぁっ…あっ……ゃめ……ふぅん!!」
抑えていた手を離すと心もとなくなりシーツを手繰り寄せ堪える。
刺激に窄まりがヒクヒクとなるのを感じ、蜜がトロトロと溢れてくる。
「も…いき…そ……」
と言った瞬間に全ての動きが止められ、達したいのに達せないもどかしさに切なくなる。
「え…何で……。」
足掻くようにエディソンを見つめると
「あのさ…俺、渡したいものがあるんだ…。」
そう言って枕の下からゴソゴソと何かを取り出す。
「これ。」
そう言うと小さな箱を渡される。
「い、まじゃ…なきゃ、だめ…なのか…?」
ヒクヒクと熱に浮かされ堪らなくて問うも、コクリとエディソンは頷く。
堪えて震える手でそれを開けると、中には綺麗な深い緑色をした1対のピアスが入っていた。
「ピア…ス…?」
「うん。そう。それ、僕とお揃いでつけないかなって。」
「けど…耳に…穴、あいてない…。」
「うん。だから…今から開けない?二人で。」
そう言った。
”揃いのモノを1つづつ分けてつける”それは互いが互いの物である証という事か…。
照れくさくはあったが、エディソンの気持ちが嬉しかった。
「分かった…。」
そう言うと、エディソンはホッとした顔をしてニィッと笑う。
「穴、あけられるのこれしかないから…。」
そう言って差し出されたのはヤカトロの串。
「ちょ、本気かよ!?」
そう言うと
「大丈夫…。消毒、してあるから。」
「いや、そう言う問題じゃなくて…あっ…」
俺が戸惑うのも構わず、その串を手にしたまま覆いかぶさると、エディソン自身を窄まりに宛がいゆっくりと侵入してくる。
事前に刺激にならされている俺の体は直ぐに快感を取り戻し熱を持っていく。
感じる所ばかりを狙ったように愛撫される度に頭の中が真っ白になっていく。
「あっ…ッく……はっぁ…ん…んっ…」
エディソンのそれが全て俺の中に納まると、小さく腰を動かし始める。と同時に、右の耳をそっとつままれた。
「…開けるよ。エドガーは…下だけ感じてて。」
そう言うと唇を重ね舌を絡めながら、ツプ…と耳へと串を突き立てる。
「んん゛~~ぁあっ!!」
金属の冷たい感触と鋭い痛みに過去を思い出す。
それとは違うのに感じてしまい体が熱を求めていく。
「もっと…もっとキスしろよっ…!!んっん゛~~!」
痛みと快楽とが混ざり合い意識が朦朧とする。
(ちゅ…じゅっ…ぐちゅ…ずっ…)
エディソンの熱だけを求め舌を合わせ吸っていく。
「通った…。」
そう耳元で囁かれると生暖かい物が耳を伝う。それをエディソンがペロリと舐め、俺の血で汚れるのを見ると、嫌に興奮した。
「ちょう…だい……」手を伸ばし首へ腕を絡めると、その血で濡れた舌の先と先をレロレロと擦り付けあう。
「エディソンの…味…と…俺…の味が…する。」
そう言って微笑むと、エディソンはもう一つ串を取り
「今度は…エドガーの、番…。」と言った。
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渡された串を手に取り体勢を入れ替え馬乗りになると、自ら腰をゆっくり動かしながら囁いた。
「痛むから…ジッとして…ろ…。」
そう言うと耳をそっと掴み串をゆっくり刺していく。
一気に刺した方のが痛みはきっと少ないだろう。だが、ゆっくりとエディソンの歪む顔を見ていたかった。
「っ…ぃ…た……っ。」
苦痛にゆがむ顔に、恍惚となり体の熱が上がる。
串を貫通させると、流れ出る血をレロ…と舐める。
「舌…だして…。」
言われたままに差し出すエディソンのそれに重ね合わし唇を重ねる。
口を離すと互いの間に銀糸がツゥと垂れる
それもそのまま拭う事もせず俺は
「エディソンの…全部…俺のモノだ…。」と告げた。
とエディソンの目に揺らりと鈍く光りが宿り
「エドガーも…僕のだ。誰にもやらない。」
そう言うと再び覆いかぶさり強く腰を打った。
「はっ…あっ…っぁ……えでぃそ……エディ……あっん……も…俺、ひと…りに…する…な……ふっ…ぁ…い…くっ…っっつん!!!」
肩に傷がつくほど深く爪を喰い込ませ、互いに果てた。
果てた後も、俺はエディソンにしがみ付き、描き抱き、これまでになく感じた喜びに震えていた。
「エディソン…愛してる…。」
照れくさくて顔も見れないが、心からそう、呟いた。
開けた耳の出血が止まると互いの耳へその小箱の中のピアスを付けあう。
キラリと小さく光るそれに軽く口づけて
「な、これもしかして自分で作ったのか?」と問うた。
「うん。緑のベリルは遠い国で『無条件で人を愛する気持ちを育み、信頼と絆を結ぶ』って意味があるんだって本で読んだから。」
と照れくさそうに笑う。
それを聞き甘える様に肩にトンと頭を乗せ
「そっか…生涯、これ外すなよ…?」と告げると
「外す訳ないでしょ?それはこっちの台詞だよ。」と抱きしめられた。
”なぁ…爺さん。これで良いんだよな?”
と心の中で呟きながらエディソンの温もりに包まれ幸せを感じていた。
fin.
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